展示会でよく聞かれる質問の一つに、「どうして組紐製造機を作ったのか?」というのがあります。

もともと、私は、まったく組紐に関わりはなく、興味もありませんでした。

それは、1年くらい前、何かコンピュータを使ったものを作りたいと思っていた時に、ネットでmicro:bitのコンテストがあるの知りました。
これに応募してみよう。

漠然と決心した時、応募期限まで1カ月を切っていました。
まずは、何を作るか決めなければいけません。時間の猶予がなくなっていく中、決められずにあれこれ悩んでいました。
どうせ作るなら、自分が欲しいものを作りたい。それだけを基準に考えることにしました。

私は、機械が動くのを見るのが好きです。
以前勤めていた会社は、工場の自動化に関連する業務で、私は、よく出張でお客様の工場に出向いていました。そこでは、様々な機械が製品を作る様子を見ることができます。
私は、忙しい合間に、それらを眺めるのが好きでした。

機械が製品をつくりあげていく様子の、まるでダンスのような動きの美しさと、物が生み出される不思議さに惹きつけられました。
また、これら機械たちがひたすら働き続ける姿に、けなげさや、更には愛おしささえ感じます。

そんなわけで、身近に置ける、何か物を作る機械を作りたいと思ったのです。

私が学生の頃にコンピュータの歴史について学んだ記憶で、自動織機がコンピュータ誕生に深く関係していることを思い出し、 コンピュータの応用テーマとして面白いと思い、 この切り口で探すことにしました。

何か答えを探したいとき、ネットサーフィンは役に立ちます。
頭に浮かぶキーワードをひたすら検索にかけ、そこで気になるキーワードが見つかれば、更に検索していきます。これを繰り返すことで、考えを整理し、求める答えを見つけられることもあります。

早速、織機をキーワードにネットサーフィンをしてみました。
そうする中で、組紐にたどり着いたのです。

組紐は日本古来の工芸で、丸台と呼ばれるテーブルに、錘で吊り下げられた糸を移動するだけで、紐が生み出されるのです。この一見単純である動作が複雑に組み合わされ、紐が生み出される仕組みが、丸台という小さな道具の中に凝縮されているのです。これが求めていたものだと感じました。
そして、これに決めたのです。

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